フットケアコラム(3)「足の乾燥」    

フットケア

2020.01.03

あけましておめでとうございます。医療フットケアスペシャリスト・リンパ浮腫専門看護師の稲田知子です。本年も足の魅力をお伝えします。よろしくお願いします。

 新年の第1回目のテーマは、「乾燥」のこと。冬になると空気が乾燥して肌がカサカサしてきますよね。
 ここで気象のお話を少々。冬は、シベリア大陸から冷たく湿った空気が日本海側に流れてきます。そのため日本海側では多くの雪が降ります。そして、日本海側で水分が抜けた乾いた空気が太平洋側に流れてきます。つまり、冬に空気が乾燥するのは太平洋側だけです。そして、冬の暖房によって飽和水蒸気量が増加すると、相対湿度が低下してよりいっそう空気が乾燥します。

 

 このとき、足の潤いを適度に保つには角質層の外側が順序よくはがれていくことが必要で、それには適度な水分が必要です。接着班(desmosome)が加水分解されることで順序よくはがれていくのですが、冬の乾燥に加えて、高齢者は角質層の水分量が若者の半分ほどに減ってしまうため、剥がれ落ちる角質層も減ってしまいます。その結果、若い人の約4倍の厚みの角質層(角質肥厚)になります。 外的刺激によるターンオーバーの乱れによっても角質層は厚くなると言われていますが、そのお話はまた別の機会に。

 

 足の水分量を適度に保つためには、保湿クリームが効果的です。でもその前に、足の裏が白くなっていないか確認しましょう。白くなって剥がれ落ちない角質は皮膚ではありません。白い部分は足裏用のやすりでこすって削り落としましょう。やすりは皮膚を傷つけないよう目の細かいものを使用します。かけ方は、一方向に手前に引き、これを繰り返す。きれいに取れたら、洗い流してからクリームで保湿しましょう。足裏には汗腺は多く存在しますが、皮脂腺はありません。潤いを与えて油分で水分をパックしましょう。

 

 私の個人的な感想ですが、足に塗るクリームは指ですくったときにクリームの形がしっかり保てるものの方が保湿効果はあると思います。つまり、油分がちょっと多めのものがよいでしょう。クリームは毎日塗ってください。最近ではクリームの種類も豊富です。いろいろ試してみて自分に合った保湿クリームに出会ってください。

※接着班・・細胞がほかの細胞に接着する構造の一種

【足インタビュー②

    
足主: 北場広治様    
年齢:50代
職業:酒造業 蔵人
立っている時間:1日7時間(以前は力仕事も多かったが現在は機械化によりそれほど重いものは運ばない)  
座っている時間:1日3時間(事務作業)
靴選びのこだわり:幅広の靴。仕込みは長靴
お手入れ・爪切りの頻度:月に1回 
実施者:自分
お手入れのこだわり:足のカサカサが気になった時期があり、以来、やすり掛けを2週に1回ほどする
入浴時に足を洗う順番:最後
靴のサイズ:26.5センチ

足底長さ:右24.5センチ 、左24.3センチ

アーチ高さ:右4.8センチ、左5.5センチ
皮膚の状態:第1趾裏、指先全体と第5中足骨あたりに角質肥厚あり

爪の状態:左第3趾の爪がうえに向いてしまう 
理想の足:スラっと細い足


理想の足になる為に今日からできること:軽石を続ける、入浴時に1番に足を洗う

【稲田のコメント】
 蔵人の朝は早く、6時から仕込みの作業に入るそうです。仕込みの作業は昼過ぎまでかかり、事務作業もこなされます。北場様の足を拝見すると、幅広で肉厚。どっしりとまさに地に足が付いている。この様子から、まじめで温かい心をお持ちの方であろうと思いました。左の第3趾の爪が上に向いているのは、ハンマートウと呼ばれる関節の変形の様子がうかがえます。普段、前のめりになり、上半身に力を入れる動きをされるお時間が多いからでしょうか。左足先にかかる力が大きくアーチも高くなっているように思われます。アーチに沿うようにインソールを使用することで前にかかる負担は軽減されるのではないでしょうか。普段履いている靴サイズと実測値の差、いわゆる捨て寸が約2センチですが、理想は1.0~1.5センチなので少し多いです。作業も長靴とのこと。靴サイズを0.5センチダウンするか、インソールで調整するとよいでしょう。変形している足趾は、固まってしまわないようにストレッチをしてはいかがでしょうか。痛みがあれば整形外科の受診をお勧めします。角質肥厚は力を入れるときに足にかかる力が同じ場所であることが多いために起こります。写真の少し黄色くなった部分がそうですね。蔵人さんという専門的なお仕事の特徴でしょうか。やすりをまめにかけていらっしゃることはとても良いことです。黄色の部分がこれ以上厚くならないように、やすり掛け頑張ってください。保湿もお願いします。日々のお手入れで、すらっと美しい足をめざしてください。麹を手で混ぜるとのこと、手の皮膚はきめ細やかでとてもおきれいでした。

 

 インタビュー後に蔵見学をさせていただきましたが、町まで麹の甘い香りが漂う素敵な酒蔵でした。 貴重なお時間をいただきありがとうございました。

<稲田のお道具紹介>
 普段の仕事で常に持ち歩いているものです。 足、手(手の爪も見て!といわれることがよくあります)ともに爪はニッパーでカットします。 ニッパーにもいろいろな種類がありますが、私は日本製のニッパーを使っています。手が大きくないので小ぶりなマルト長谷川工作所さんのものを愛用しています。1日に何人もの方のケアを行うことも多いので同じものが何セットかあります。爪、皮膚、角質、など用途に合わせて数種類を使いわけます。ゾンデは、爪の生え際(爪甲遊離縁)の様子をみたり、溝のゴミを取ったり、細かく削ったり、皮膚の弱い人用に先が丸かったりと様々に使うのでいくつかの種類を使いわけます。他には、キュレット、コーンカッター、テーピング用テープ、やすり、コットンで免荷する際のセット、足浴用の入浴剤も入っています。これとは別に、グラインダーセットやリンパ浮腫セットもありますので別の機会にまたご紹介します。