フットケアコラム(5)「足を一番に洗う」

コラム

2020.03.05

文・稲田知子(医療フットケアスペシャリスト・リンパ浮腫専門看護師)

新型ウイルスの影響で日常が非日常になっています。

室内で過ごすことを強いられる今、足の洗い方をじっくり考えてみませんか?日本語にはあしを洗うという慣用句があります。修行に出た僧が寺に帰り足を洗うことで俗界の煩悩を洗い清めて仏業に入ったことからきているそうです。英語では、Wash one`s hands. 足ではなく手を清めるそうです。面白いですね。

普段、足を洗っていただくのは、悪を断ち切るとか関係の清算とかそんな深刻なお話ではありません。洗い流すのは、土、埃、汗、角質、皮脂などの物理的な汚れと、水虫の原因である白癬菌を洗い流してください。

では、入浴でどのくらいのエネルギーを消費するかご存知ですか?

入浴の運動強度は1.5METs。体重60キロの人が30分入浴した場合の消費カロリーは47kcal。これは、平地を10分歩いた場合の消費カロリーに匹敵します。

寝る前に10分ウオーキングはきつくないですか?

足の勉強をして4年近く、出会った多くの人に「お風呂で足は何番目にあらう?」と聞いてきました。これは入浴の介助をするナースや介護士、ヘルパーにも聞きました。足が最後でない方はこれまでにお二人(はなまる)。それ以外は足インタビューでもお分かりのように足は最後!と答えて下さります。でも。足の指はでっぱりあり、入り組んだ部分あり、体の中でも一番細かい造りになっています。何より手から一番遠い。

そんな足を、しかも10分ウオーキングに匹敵するエネルギーを必要とする入浴の最後に丁寧に洗えますか?私は、自分の入浴でももちろん足1番ですが、自身で入浴が困難な方の介助でも足1番に洗います。これは、以前働いていた難病・ガン末期専門の住宅型施設の介助者にも実践してもらいました。すると、足1番でないときには体側に立って手を伸ばして足を洗っていたのに足1番の時には足裏方向に立って丁寧に洗うようになるんです。すると、足の相談も増えてきました。

ざわついた近頃ですが、一日の最後には足を1番に洗い清らかな気持ちでつながるあしたに備えてください。