寺﨑 譲

高校生の時に離れて暮らしていた祖母がALSを発症し、自宅療養していました。発症前はとても活発だった祖母でしたが、徐々に動けなくなり、眉間に皺を寄せて日々を過ごすようになっていました。ある日、祖母の家を訪れたとき、介入していた訪問看護師に勧められて祖母の手を握ったところ、祖母が大号泣し始めました。手を握ることで、今まで溜めていた感情が爆発して発散した様でした。その関わり方に感銘を受け、「将来は訪問看護師になりたい」と思い看護師の道を選びました。訪問看護師になるために看護師になったのです。
看護大学を卒業後、聖路加国際病院に入職しました。病棟を2年、病院附属の訪問看護ステーションを３年経験し、訪問看護認定看護師の資格を取得しました。その後、病院から厚生労働省に看護技官として出向し、２年間介護保険分野で政策に携わりました。病院復帰後は、退院調整室で半年働き、計10年その病院で勤務し、かかりつけに入職しました。
看護師として大切にしているのは、一人ひとりの生き方や考え方を大切にしながら関わることです。私に祖母の手を握るよう勧めてくれた看護師は、祖母の価値観や人生観、家族背景などを的確にアセスメントしていました。だからこそ祖母が感情を表出できたのだと思っています。時には一緒に笑ったり泣いたりしながら、その人の想いを大切にケアを届けていきたいと考えています。

かかりつけへの転職を考えたのは、弊社代表の藤野さんから見学に誘われたことがきっかけです。藤野さんは前職の大学病院の先輩で、同じ寮に住んでいたこともあったため、立ち上げ当時からかかりつけの話は聞いていました。その後、私が訪問看護に深く携わる中で、藤野さんに声をかけられ、名古屋店に見学に行きました。
名古屋店のスタッフは「ご利用者さまにとって最高のケアとは何か？」を追求しながら、楽しそうに働いていました。常にスタッフが安心して働けるような職場環境と、ご利用者さまのために最高のケアを考え提供できる体制に魅力を感じました。
正直に言えば、かかりつけへの転職自体に不安はあまりありませんでした。私の訪問看護師としての幅を広げ、スキルアップできることが楽しみだったからです。ただ、すぐに大学院に進学するのではなく、ここに入職して本当に後悔しないかという不安はありました。