タオル帽子でがんを患う方の支えになりたい@有松店
訪問看護ステーション有松
2022.11.14
こんにちは、みんなのかかりつけ訪問看護ステーション有松(愛知県豊明市)の作業療法士・中根です。弊社では、「ベターコミュニティ(医療・看護に基づく地域創生)」という価値基準を大切にしているのですが、有松店はその一環として、地域の団体と連携し「タオル帽子」の作成活動を始めました。今回は、活動内容やその想いについてお伝えできればと思います。
タオル帽子で見た目と心をケア
がん治療の1つである抗がん剤は、副作用として脱毛を起こすことがあります。脱毛には強いストレスや不安が伴います。
脱毛に対し、医療用ウィッグや帽子、スカーフ、バンダナなどを使用するケアがあります。「タオル帽子」も脱毛へのケアの1つです。
タオル帽子は見た目の変化へのケアだけでなく、優しい肌触りで頭皮の保護にもなります。
今回、私たちが連携するのは「あいち笑がおの会」という団体です。マンションの一角で、アロママッサージや看護師による聞き書き、看護塾など、さまざまな活動をされています。
その活動の1つとして、抗がん剤治療を受けられる方のためにタオル帽子を作っています。
作る側も受け取る側も笑顔に
あいち笑がおの会を知ったのは、有松店所長・北川さんの友人からのご紹介でした。「訪問先や知り合いにタオル帽子を必要とする方がいたら、無料でお渡しします」とご連絡があり、代表の方とお話する機会をいただきました。そのときに、タオル帽子のことをお聞きしました。
「タオルの色や柄、手触りひとつで自然と笑顔が生まれること」
「帽子をプレゼントする時にも笑顔が生まれ、帽子を選んでいる瞬間だけでも病のことを忘れる時間があること」
「笑顔の時間をお互いに共有できること」
このお話を聞き、有松店のビジョン『笑顔の追求』『地域を育む』と同じだと感じました。
あいち笑がおの会は、普段名古屋市中心部で活動しています。そのため、遠くまでタオル帽子を作りにいけないという課題があるそうです。
また、病院とのつながりには限りがあるため、訪問看護ステーションやその他の在宅サービスとのつながりを大切していきたい、とも話していました。
そこで「有松店としてタオル帽子の活動をお手伝いしたい」と考えました。同じビジョンの実現に向けて、協力していきたいという想いです。有松店には作業療法士が3 名在籍しており、その強みを活かせる機会でもあります。
この想いをお伝えし、タオル帽子作りに参加させていただくことになりました。代表の方は「一人でも知ってくれる人が増えて、輪が広がっていくのが嬉しい」とおっしゃっていました。
人とのつながりやフレイル予防に
タオル帽子作りは、裁縫を学び始めた小学生から高齢の方までどなたでも参加できます。針を縫うことができない方も、メッセージを書いたり、その場でお話をしたり、どんな形でも参加可能です。
「笑顔」と「タオル帽子」をキーワードに、誰とでもつながれる機会になります。
また、ご利用者さまの作業療法としてタオル帽子作りをすれば、手を動かすことや、誰かと話しながら笑顔でタオルを縫うことが、フレイル予防になります。
タオル帽子を作るという作業を通じて、人と関わる機会やフレイル予防へのつながりが期待できます。
タオル帽子作りを広げるために、作り手を増やす
有松店では、地域の方と支え合いながら、タオル帽子作りの活動を広げる体制を構築したいと思っています。そのためには、材料と作り手の確保が必要です。
材料のタオルは、引っ越しや結婚などの頂き物によく使われます。新品のままご家庭に保管されていることも珍しくないので、確保しやすいと思っています。
作り手の確保は課題ですが、地域の中で仲間を増やす方法を検討中です。
この活動を通してがんの理解を広めることで、専門的な医療機関でなくともタオル帽子作成の場所作りができます。結果として、がんを患う方へのケアにつながると考えています。
地元の伝統工芸を取り入れ、慣れ親しんだ地域の触れ合いに
今後はあいち笑がおの会と協力しながら、地域の伝統工芸を取り入れたタオル帽子作りを検討しています。
先日、3年ぶりに名古屋市緑区の「有松絞り祭り」が開催されましたが、入院中で参加できない方がいたと聞きました。
入院や治療により祭りに参加できなくとも、見た目や手触りで慣れ親しんだ地域に触れ合えるように、有松絞り柄のタオル帽子を作ろうと考えています。
有松絞り柄のタオルを用意するところからのスタートですが、少しでも治療中の方の支えになるように活動していきます。
タオル帽子作りを通して人と関わる場が増えれば、病気を患う方の理解が深まっていくと思います。そこに、有松の「笑顔の追求」と「地域を育む」というビジョンをかけあわせながら、ベターコミュニティの実現を目指していきたいと思います。
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