Possibility
特別座談会:
〜Better Community へのチャレンジ〜
テーマ2 新しい看護サービス開発
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テーマ2 新しい看護サービス開発
パネラー
伊藤 嘉希
リハビリテーション部長/
コトノハの森保育園 園長
脳梗塞でのリハビリに励む祖父の姿と作業療法士の方の親身なケアを見たのがこの道に進むきっかけとなる。星城大学で作業療法学を専攻し、訪問リハビリ専門企業に就職。次のステップを模索中にデザインケアと出会い、その可能性に惹かれ転職を決める。現在はリハビリテーション部と保育園事業を統括しつつ、教育体制の強化や保険外自費サービス開発を推進中。
早川 潤
みんなのかかりつけ 訪問看護ステーション
名古屋事業所 所長
前職は国立の医療センター勤務。在宅看護に興味があり、看護協会の「訪問看護1週間学習会」に参加。その実習先がまさにデザインケアであった。自ら考え、目標を持ち、行動しているスタッフたちを目の当たりにして、自分もこんな風に働きたい!と転職を決意した。高校3年の時に「子どもに見守られて自宅で亡くなる自分」をイメージ。そこから看護職を志す。
ファシリテーター
藤野 泰平
株式会社デザインケア 代表取締役社⻑/看護師
課題
どんなに高齢になろうと、どんなに病気や障がいが進もうと、人が人として「自分らしく生きたい」と願うのは自然なことである。医療保険や介護保険はそのための最低限の生活を保障する制度であるが、保険内でできることには限界があり、利用者様の要望全てに応え切れないのも事実である。国としても「在宅生活を継続するための日常的な生活支援等を必要とする高齢者が今後も増加することが見込まれる中、高齢者の多様な生活支援等のニーズに対応するためには、介護保険制度に基づくサービスに加え、民間市場で提供されるサービスを活用することが重要」と、厚生労働省 老健局のレポート内で保険外サービスの必要性を説いている。そんな現状において、デザインケアでは2つの自費看護サービスを開発、提供を開始した。
藤野 | デザインケアの可能性を語り合う特別座談会も第3回目となりました。今回は『新しい看護サービス開発』というテーマでお送りします。それではパネラーをご紹介します。リハビリテーション部長で、コトノハの森保育園園長でもある伊藤嘉希さんと、名古屋事業所の所長、早川潤さんです。伊藤さん、早川さん、本日はよろしくお願いします。まず、早川さんから。どのような保険外の自費サービスを推進されていますか? |
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早川 | はい。私からは『結婚式同行サービス』について紹介させていただきます。これは、お孫さんやお子さんの結婚式に出席できないだろうか?という利用者様の夢や、お爺ちゃん、お婆ちゃんを結婚式に招待したい!というご家族の願いをカタチにするサービス。ご自宅や施設から式場までの送迎、待ち時間や式中でのケア体制構築、医師への待機依頼等、病状やお体のコンディションに合わせ、考えうるリスクを抜け漏れなく想定した上で、式場とも密に連携を取りながら慎重に準備を重ねて当日に臨みます。 |
藤野 | 特に気をつけていることは何ですか?また具体的なエピソードがあればお聞かせください。 |
早川 | そうですね、まずは不測の事態が仮に起こっても対応できるよう、万全の体制を整えること。これが何より大事です。せっかくのハレの場ですから。あとは黒子に徹すること。主役は新郎新婦であり、そのご家族です。だから自分たちが異物にならないよう利用者様や周りの方々にご対応しようと心がけています。最近同行させていただいた案件だと、認知症の利用者様がいらっしゃって、ご家族がどうしてもお爺ちゃんを孫の結婚式にお呼びしたいと。ご本人は、そこがどんな場なのかわかっていらっしゃらないご様子でしたが、披露宴中はとても穏やかに過ごされ、ご家族としても両家の写真に元気に写ってくれただけでありがたい、と大変喜んでいただけました。お礼に引き出物もいただいてしまいました(笑)。 |
藤野 | それは嬉しいですね。もう一点だけ聞かせてください。利用者様の大切な願いを叶える素晴らしいサービスだと私も心から思っているのですが、どうすればさらにこのサービスが広がっていくと考えていますか? |
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早川 | 実際自分も同行させていただいて、とてもいい経験を積めました。それは他のスタッフも同様で、ご家族の思いを知れ、感謝の気持ちをダイレクトにお伝えいただけるので、短時間で誇りと自信が持てるようになります。それは通常の看護にも絶対に活きてくると思います。営業展開ですが、このサービスのご案内は結婚式場や病院の地域連携室がメインです。ただ、まだまだこれから。特に式場ルートは、おめでたい席で何かあったら大変、ということでなかなか簡単には受け入れていただけない。とにかく、一案件一案件の実績の積み重ねが大事だと思っています。 |
伊藤 | でも確実にニーズはありますよね。そして早川さんがおっしゃるように、この特別なサービスを提供する際のスタンスや経験が、必ずや通常のサービスレベルの向上や個々人のスキルアップにもつながっていきます。利用者ファーストの観点と自らのレベルアップを同時に実現できる点こそ、私たちが自費のサービス開発に取り組む大きな意義だと思います。 |
藤野 | 伊藤さん、ありがとうございます。この流れでご質問します。もう一つのオリジナルサービス、『みんなの夢たび』について教えてくだい。 |
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伊藤 | わかりました。特長は大きく3つです。まず、ご希望にできるだけ沿うような旅行プランをご提示できること。次に、事前の体調確認や当日の介助ケア等、我々訪問看護スタッフが責任を持って同行サポートする点。そして土日祝の追加料金をいただかない一律の料金設定。とにかく安心して快適に「行けたらいいな」をお届けしたい。そんな思いでこのサービスを立ち上げました。病院からの一時帰宅で3時間ご利用する、といった短時間のサービスにも応えさせていただいています。 |
藤野 | もう一度あのお店で食事をしたい、といったご要望にも対応していて、涙を流して感激される利用者様もいらっしゃいます。伊藤さんが担当された案件で心に残っているものはありますか? |
伊藤 | はい。2つあって、1つ目は、千葉のテーマパークに2泊3日で旅行したことですね。車椅子の子どもたちとそのご両親、そして我々の大所帯。子どもたちは新幹線に乗るのも初めてですし、あんなにたくさんの人を見るのも、もちろん憧れのキャラクターに出会うのも初めて!みんな大きな刺激をもらえたようです。それと、ご両親がとても感激していました。我が子の喜ぶ顔が見られたこと、そして子どもたち自身も今まで行けなかった旅行に行けたこと。大変でしたが、この旅に同行できて良かったです。 |
藤野 | もう一つは、沖縄の… |
伊藤 | そうです、那覇への個人旅行ですね。以前からの知り合いの利用者様で、彼が22歳の時のことです。できるだけ自力で旅行がしたいと連絡がありまして、セラピストとして自分に同行してほしいと。彼は作業所で働いていて、一人分の旅費と宿泊費を工面するだけでも大変なのに、私との2人分を頑張って貯金していたんです。プランも手配も自分でやってみてよ、と私が言うと、本当に3日分の旅行計画も宿泊先もレンタカーの手配も全部、彼が決めてくれました。那覇自体、とても車椅子に優しい街なので不自由なく旅行ができました。夜は2人で飲みました。旅先で友人とお酒を飲み、夜通し話す。私たちにとっては珍しいことではないですが、彼にとっては特別なことなんです。その時の笑顔が今でも忘れられません。 彼は今、一人暮らしを始めました。 |
藤野 | 素晴らしいですね。生きる喜び、生きる力を創るケア。全ては利用者様ファーストに考える大切さ。我々としても利用者様の思いに応えていくべく、知識やスキルを常に磨き、向上させていかなければと思います。 |
早川 | 私も聞いていて勇気がもらえたし、モチベーションも上がりました。 |
藤野 | 自費でのサービスを開発し、それを利用者様にお届けすることで心から喜んでいただく。笑顔になっていただく。その際に必要なこと、磨かなければならないことは何でしょうか。早川さん、どうですか? |
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早川 | 保険外の自費サービスは、公的なものよりも一段高いサービスレベルを求められます。つまり、プロフェッショナルとしてのスキルと知見が必要となります。ここを磨くことで普段の看護サービスの質も向上させていく。この好循環をつくっていきたいですね。 |
藤野 | おっしゃる通りと思います。伊藤さんはいかがですか? |
伊藤 | 根本は利用者様の「毎日リハビリして良くなりたい」「もっとこんなことをしてみたい」という声に、いかに応えられるか?だと思っています。保険外でもいいから来てほしい、というオーダーに耐えうる力量を持ったスタッフの育成と自費サービスを開発、運用できる企業体制。これが絶対条件ですね。手前味噌ですが、デザインケアにはこれがある。そう自信を持って言えます。もっともっとレベルを上げていかないといけませんが。 |
藤野 | セラピストの技術向上のためにどんな取り組みを行っていますか? |
伊藤 | セラピスト向けのオープンセミナーをずっと続けていまして、全国で約5000名の受講者に参加してもらっています。主催する側の利点としてはまず、さまざまな人脈が築けることが挙げられます。そしてお招きした著名な先生から直接お話が聞けたり、指導を受けたりできること。ここでの学びを、自身が担当する利用者様にどう活かしていけるのか?その思考の積み重ねがとても大事な訓練となります。デザインケアには、このセミナーの役員のセラピストが4名在籍しています。みんな、とても高いスキルとスタンスを持つプロたちです。社内では若手の相談に乗ったり、勉強会を開いてくれたりしていて、環境的に学ぶチャンスには恵まれている職場だと思います。 |
藤野 | ありがとうございます。では最後にお二人の実現したい「Better Community」についてお伺いします。 |
早川 | 私は自費サービスを進化、発展させていくことで日本の医療財政破綻を食い止めたいと思っています。早期発見早期治療による医療費負担の削減。そのために、例えば「健康相談窓口サービス」を開設して、そこでコンサルティングビジネスを行う。そんな新サービスを空想しています。 |
伊藤 | 私はセラピストの地位向上を実現したい。技術力と人間力を磨き続けることでプロフェッショナルとして能力を高め、利用者様に選ばれる存在になっていく。そして、その能力と提供サービスに見合ったフィーを獲得できる。そんな環境を早くカタチにしたいですね。 |
藤野 | ありがとうございます。利用者様、地域の願いを叶えるために、保険の中で何ができるかを考えるだけではなく、願いを叶えるために何が必要かの視点からスタートし、必要な保険外サービスも積極的に開発していきたい。そんな思いのある人をデザインケアは応援しています! |