Possibility

特別座談会:
〜Better Community へのチャレンジ〜

テーマ4 医療専門職の協働強化

セラピストと
看護師のより良い連携が、
最高のケアと
地域づくり推進の鍵を握る。

パネラー

伊藤 嘉希

リハビリテーション部長
コトノハの森保育園 園長

脳梗塞でのリハビリに励む祖父の姿と作業療法士の方の親身なケアを見たのがこの道に進むきっかけとなる。星城大学で作業療法学を専攻し、訪問リハビリ専門企業に就職。次のステップを模索中にデザインケアと出会い、その可能性に惹かれ転職を決める。現在はリハビリテーション部と保育園事業を統括しつつ、教育体制の強化や保険外自費サービス開発を推進中。

板谷 敬晴

みんなのかかりつけ
訪問看護ステーション緑事業所
セラピストマネージャー

中部リハビリテーション専門学校を卒業し、14年間、外科病院に勤務した後、デザインケアに参加する。きっかけは、知り合いからの口コミ。見学会に参加した時に、周りのスタッフの心遣いや利用者様を一番に考えるスタンス等、その風土に強く惹かれて転職を決意した。今後は、リハビリを通じた介護予防の領域に取り組んでいくべくリーダシップを発揮している。

平野 雄大

みんなのかかりつけ
訪問看護ステーション名古屋事業所
セラピストマネージャー

人の助けになるような仕事がしたい!両親が医療関係の仕事をしている関係で、高校生の時に心理学や医療分野への道を志す。そんな折、理学療法士という職業が目に留まり、藤田医科大学保健衛生学部リハビリテーション学科に進学。卒業後、愛知県内の外科病院に就職した。やがて在宅看護に強い興味を抱き、一念発起、デザインケアの門を叩くこととなった。

ファシリテーター

藤野 泰平
株式会社デザインケア 代表取締役社⻑/看護師

課題

2019年末に厚生労働省が発表した医療報酬改定における「基本方針」の中で、改めて地域包括ケアの構築推進が強調された。そこには、医療専門職同士の多職種連携を深化させながら、質の高い訪問診療、訪問看護、訪問薬剤管理といった提供体制を整備することで、高齢者らが住み慣れた場所で安心して暮らし続けられるような地域づくりを行う、と明記されている。医師やケアマネージャー、看護師や介護士の連携が進んでいけば、在宅医療、在宅看護はより浸透していくであろう。ただ、職種間の壁は確実に存在する。看護の業界においても、看護師とセラピストの間にはかねてより、見えざる壁が立ちはだかってきた。そこを突破するヒントを、デザインケアの現場で日々積み重ねられている取り組みの中から見出していきたい。

職種それぞれの違いを認識し、尊重し合うこと。
その上で会話をし続けること。そこが相互理解の出発点

藤野 デザインケアの可能性を語り合う特別座談会、第4回目を始めたいと思います。今回は当社でマネジメントを担うセラピストの皆さんにお越しいただきました。リハビリテーション部部長の伊藤さん、事業所でセラピストマネージャーとして活躍されている平野さん、板谷さんの3名です。それではよろしくお願いいたします。テーマは『医療専門職の協働強化』。本座談会を通じて、これからの訪問介護や地域づくりにおけるセラピストの可能性を探っていきたいと思います。さて我々とは異なり、他の訪問看護ステーションのマネージャーは看護師出身が大半を占め、セラピスト出身はとても少ないという現実があります。そこも踏まえ、皆さんはどのようなことを意識して仕事をされていますか?
平野 おっしゃる通りです。少ないだけではなく、セラピスト出身の管理職だとマネジメントがうまくいかないという話もよく耳にします。その原因は職種間の壁にあると考えます。看護師とセラピストとでは、やはり仕事に対する価値観や考え方に違いがあります。まずはその「違いがあること」を認めた合った上で、お互いを理解する努力が必要だと思います。この部分を強く意識してマネジメントをしています。
藤野 ありがとうございます。そうですね、他者理解や相互理解の機会をどうつくるか、ということは多職種の部署をまとめていく上でとても重要な観点です。新任マネージャーの板谷さんはどういった思いや考えを持って取り組んでいらっしゃいますか?
板谷 正直とても不安でした。ずっと私のマネージャーは看護師出身で、例えば彼らの緊急時における対応力や判断の的確さを間近で見てきたので、果たして自分が同じようにできるのか、最初は自信が持てなかったですね。でも事業所の看護師たちが、「板谷さんが最善と考えるマネジメントを思いっきりしてください、私たちなりにフォローしますから!」と言ってくれて。本当に嬉しかったですね。
藤野 板谷さんは社内のマネジメント講座を受講されたと思いますが、今の思考やマネジメントに活用できていますか?
板谷 そうですね、とても役立っています。今までも自分なりに勉強はしてきましたが、しっかり体系だった教育を受けたおかげで、やることの意味や背景がわかるようになり、「論」として思考が整理され、自信を持って打ち手を実行できるようになりました。いや、なりつつある、ですね(笑)。
藤野 それは頼もしいですね!期待しています。平野さんにお聞きします。苦労しているところ、喜びを感じているところを教えてください。
平野 職種間の価値観の違いは、少なからず苦労する点ですね。セラピスト同士でも違いはありますが、看護師となると、利用者様に対する気になり事も実行したいプランも異なってくる。そこを理解し、承認し、尊重しながら、チームとして最高のケアをどう届けていくのか。そこは大変な部分でもあり、醍醐味でもあったりします。ポイントは、とことん話し合うこと。何でそう考えるのか?どうしてそれを大切にしたいと思ったのか?これらをお互い納得できるまでディスカッションしています。一見時間はかかりますが、会話こそが相互理解の一番の近道なんだと実感しています。

多職種連携において、セラピストが
牽引していく地域づくりの在り方とは?

藤野 ありがとうございます。3人にお聞きします。地域包括ケアにおける多職種連携の文脈で、今後、看護師だけではなくセラピスト出身のマネージャーが、お互いに力を合わせてケアの向上や地域貢献を行っていく必要が増えていきます。特に地域づくりに関してどんな構想を持っていますか。
板谷 自分の所属する緑事業所では「がんケア」と「認知症ケア」の2つを大きなテーマに掲げています。私はそこに「介護予防」という新テーマも付加したいと考えています。介護度を上げずに、むしろ下げていき、医療関係者との接点を徐々に少なくしていく。そして、元・利用者様たちが地域の中でその人なりの役割を担いながら安心して生活できている、そんなイメージを描いています。このプロセスにおいて、セラピストの果たすべき役割はとても大きいんじゃないかと考えています。
平野 私は看護師のケアの中にリハビリ的な考えを入れていけたらと思っています。例えばリバビリを行うセラピストたちは、利用者様に自立していただくようケア伴走していきますが、そういう観点を看護師にも意識的に持っていただき、ケアプランの中に組み込んでいってもらう。そんな地道な挑戦も、セラピストマネージャーの大切な役割だと考えます。
藤野 セラピスト、看護師、それぞれのベースにあるものが違うからこそ、逆に融合した時の大きな可能性を感じますね。お待たせしました、伊藤さんはいかがですか。
伊藤 在宅看護の領域で実現したいと思っていることは、0歳から100歳を超える方々全ての人が安心して暮らせる町づくりに関わって行きたい、ということです。医療保険サービスは年々充実してきてはいますが、本当にそれだけで利用者様やそのご家族の生活が豊かになっているのか?こんな問いに対しては、まだまだ不十分であると言わざるを得ませんし、地域包括ケアの中でニーズが多様化していけばいくほど、絶対に足りないものが出てきます。そこを補っていく重要な役割をセラピストが担うことができるじゃないか、そう思っています。我々セラピストは、利用者様やそのご家族の状況を広い視野で観察、評価させていただきながら、直接体に触れてケアすることができるし、環境設定を改善することで状態を良くすることも可能なポジションにいるわけで、こういった役割や提供価値を意識して利用者様や地域、そして他の医療関係者たちとしっかり連携していくことで、在宅で安心して暮らせる社会を実現できると考えています。

すべては最高のケアを届けるために!
職種連携の風土を、自ら自覚的につくっていく

藤野 ケアの質向上においても地域づくりにおいても、セラピストの役割の重要度が上がっているわけですね。では、そんな活躍セラピストをどうやって育成していくのか?その現状についてお尋ねします。
伊藤 スペシャリティの高いスタッフが多い、というのがデザインケアのリハビリテーション部の大きな特徴です。それぞれに得意分野の違うセラピストがいて、その専門性を他のスタッフや部門にシェアできる環境が整っています。同時に、専門職としての知見の追求だけではなく、コミュニケーションやマネジメントといった社会的なスキルも伸ばせる環境にあります。ここが当社の圧倒的優位性だと思いますね。
藤野 ありがとうございます。併せて、我々のフラットで風通しの良い組織風土も、活躍人材の育成や職種間の協働に大きく寄与しているポイントだと考えています。ではその協働推進において、現場ではどのような工夫をされていますか?
板谷 看護師のみんなへのリハビリ体感学習を行っています。同行した際に、利用者様と同じリハビリを看護師に体験してもらっています。こんなふうに動かすと体って楽にならない?痛みが取れない?ちょっと利用者様にやってみて、と。体で実感することが、理解・習得にとって最も効果的な方法ですからね。

すべては最高のケアを届けるために!
職種連携の風土を、自ら自覚的につくっていく

平野 看護師、セラピスト双方の持つ専門性が交わると利用者様メリットにつながる!このことを実感してもらう機会づくりを行っています。具体的には、水曜のランチミーティングでの症例検討会。その場でお互いに意見を言い合い、一人の利用者様に対し一方だけの観点で完結させないようにする。今では、自然とスタッフ同士で相談、協働が進んでいます。
藤野 楽しそうですね!利用者様を真ん中に置いて、最高のケアをどうすれば届けられるのかを、職種を越えてディスカッションしていく。そして相乗効果を図っていく。現場の力を1+1=2ではなく、3にも4にもできるチームづくり。これこそマネージャーの醍醐味だと思います。また、組織風土や文化は勝手にはできません。お二人ともそんな協働推進の環境を工夫、意図しながら育ててくれている。とても素晴らしいですね!
伊藤 デザインケアには、自分だけではわからないことを相談できる仲間がいます。いいと思ったことにトライ&エラーできる土壌があります。副業を会社として支援してくれる制度もあります。専門職としてもゼネラリストとしても楽しく成長していける、そんな会社だと思っています。
藤野 全ては最高のケアをお届けし、より良い地域づくりを行うため。その実現に向け、看護師とセラピストが影響をし合いながら切磋琢磨してくれ始めています。大きな可能性と未来が広がっていくのを感じました。