在宅で言語聴覚士(ST)ができること~摂食嚥下編

訪問看護ステーション名古屋

2022.09.14


こんにちは。みんなのかかりつけ訪問看護ステーション名古屋(名古屋市中区)、言語聴覚士(以下、ST)の瀧本です。


リハビリ専門職の中で、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)と比べると、私たちSTの人数は多くありません。在宅医療の分野で働くSTはさらに少数です。


STが支援する対象となるご利用者さまは、主に「コミュニケーション」や「食べること」になんらかのハンデがある方です。今回はその中でも「食べること」、つまり摂食嚥下障害に対するSTのケアについてお伝えします。


在宅のSTへの依頼の大半は、「食べられなくなってきたから何とかしてほしい」というものです。ですが実は、食べられなくなる原因は、1つではありません。


鼻や口、喉などのがんで体の組織を移植した。脳の病気の後遺症がある。加齢により咀嚼・嚥下に関わる筋力が低下した。義歯が合っていない。など、さまざまです。


そこで、まずは、さまざまな情報の中から食べられなくなった原因を探し、実際に評価します。そこから、再び食べられるようになるか、訓練で改善するか、環境調整でなんとかなりそうか、などを判断し、具体的なケアにつなげていきます。


STが訪問看護・訪問リハビリに行くことで、ご利用者さまの残った機能を活かしつつ、希望に沿った提案ができます。


例えば、病院から食べることを制限されて、胃瘻や点滴を使用する方が自宅に戻った場合。STは、その方の摂食嚥下機能がどれだけ残っているかを評価します。その上で、ご本人やご家族の希望を細かく聞きながら、できることの落とし所を提案します。


STの関わりによって、安心してご飯を食べられるようになったり、好きな食べ物をまた味わえるようになったりします。ご利用者さまの生活を支えることにつながります。


さらに、食べることの専門職であるSTが関わることで、より安心感を持っていただけます。

▲連携している病院の摂食・嚥下障害看護認定看護師さんと管理栄養士さんが、訪問に同行してくれました。協力してご利用者さまにケアをお届けしています


在宅では病院とは違い、嚥下内視鏡検査(VE)や嚥下造影検査(VF)など、嚥下機能を評価する検査はなかなかできません。そのため、これらの検査ができる病院・クリニックの医師やSTとの連携が重要です。もちろん一緒に介入する看護師・PT・OTなど、チーム内での他職種との連携も欠かせません。


摂食嚥下障害は「口の体操をしていれば治っていく」とは一概に言えません。ですが、医療機関、他職種と連携しながら、さまざまな方法で評価し、その方にあった訓練プログラムの計画や環境調整をします。


在宅のSTとして、これからもご利用者さまの「食べること」という人間の基本的な欲求を叶えられるよう、お手伝いしていきます。


※記事中の写真は、ご本人の承諾を得て掲載しています


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言語聴覚士(ST)が教える、誤嚥予防のための嚥下体操シリーズ①
代表メッセージ「訪問看護・在宅医療に興味がある看護師・セラピストのみなさんへ」


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