北海道から名古屋へ。「訪問看護が充実した地域だから学べたこと」(社員インタビュー#15)
訪問看護ステーション名北
2022.04.22
こんにちは。みんなのかかりつけ訪問看護ステーション・広報の野田(看護師)です。「スタッフインタビュー 新任管理者編」の第三弾をお届けします。
今回の新任管理者は、名北事業所長の谷明(たに・あきら)さんです。地元・北海道を離れてみんなのかかりつけ訪問看護ステーションで働く谷さんに、話を聞きました。
これまでの経歴を教えてください
北海道の看護大学を卒業後、道内の急性期病院に就職しました。最初の3年間は消化器内科・外科病棟で働き、異動した脳神経内科・糖尿病・内分泌内科・皮膚科の混合病棟で3年、最後はICU・CCUを2年半経験しました。
そこで8年働いた後、かかりつけに入職して、今年で3年目になります。
看護師になろうと思ったきっかけは?
高校生のときに看護の仕事に興味を持ち、重度精神障がい者の方がいる施設に看護体験に行ったことがきっかけでした。そこには話すことができなかったり吸引が必要だったり、僕が今まで出会ったことのない方がたくさんいました。
そのとき「自分にはこの仕事は難しいんじゃないか」と思ったんですが、施設の看護師がその人らしさを引き出すようなケアをしていたんです。ちょっとしたしぐさを見極めて、考えていることを引き出すような関わりです。その看護師の姿を間近で見て「僕もこんな人になりたい!」と思い、看護師になることを決めました。
訪問看護師になろうと思ったきっかけは?
大学の実習で、訪問看護師がみんな楽しそうに働いているのを見て、訪問看護に対してワクワクするような良いイメージを持ちました。まずは力をつけるために急性期病院に就職しましたが、病院で働いている時にもそのイメージはずっと残っていました。
病院で8年働き、これからどうしようかと考え始めた時、楽しそうに働いていた訪問看護師の姿を思い出したんです。基本的な看護は学べたので、学生の時にワクワクした訪問看護師をイメージし、チャレンジしてみようと思いました。
かかりつけを選んだ理由は何ですか?
偶然ですが、僕の友人がこの会社で働いていて、楽しそうに働く様子をいつも聞いていました。その友人にみんなのかかりつけを勧められて、入職を考え始めました。
決め手になったのは、「すべての人々が豊かに暮らせる社会を実現する」というビジョンに共感したからです。最高のケアをするためには自分たちがハッピーであるべき、という「ベターワーク」の考え方にも魅力を感じました。
北海道から名古屋へ来る不安はありましたか?
もちろん不安はすごくありました。そもそも訪問看護師が本当に自分に合ってるのか全くわからなかったので。そんな状況で、知らない地域の文化に慣れることができるのか、といった不安も強かったですね。
だから、本当に名古屋で訪問看護にチャレンジするのか、すごく悩みました。そんな僕の姿を見て、付き合っていた彼女(今の妻)が「友達もいるし、やってみればいいんじゃない?ダメだったら戻ってくればいいんだし」と背中を押してくれました。
その後押しもあって、知らない土地でのチャレンジに踏み出すことができました。
訪問看護の仕事を始めてみてどうでしたか?
最初の半年は、病院と訪問看護とのギャップが苦しかったですね。
病院では「治す」ために、さまざまなケアをします。例えば呼吸のケアでは、時間を決めて体位変換し、痰を吸引して評価、ということをしますよね。ただ病院みたいなケアをご家族に求めると、介護負担が強くなってしまいます。
「ここは家だから病院とは違うぞ」と覚悟していたつもりでしたが、「治す」という意識がなかなか抜けず、その折り合いをつけるのに苦労しました。
半年くらい経ったころから、在宅では多くのことを求めても仕方ないし、その人自身がどうしたいかを優先することが大切だと思うようになりました。
本当に困ったときは往診クリニックに診察を依頼できますし、状態によっては入院治療という方法もあります。自分の中で選択肢が持てたことで、「治す」よりも「どうやって付き合っていくか」という考えに変わっていき、楽しく働けるようになってきました。
管理者になるまでの経緯を教えてください
始めのうちは、すぐに管理者になりたいとは思っていませんでした。入職時の面接で「いずれは管理者になりたい」と伝えましたが、早くなりたいと思っているわけではありませんでした。
ただ、入職して半年後に始まった、管理者になるための研修で考えが変わっていきました。ちょうど「メンバーが楽しみながら高め合う環境が、結果的にご利用者さまの生活をより良いものにできる」という流れが見えてきた頃でした。
良いケアを届けるためにはチームの力が本当に大切で、自分の力がスタッフにもご利用者さまにもプラスに働くなら、管理者になってみたいと強く思うようになりました。
そのタイミングで一部の管理業務をさせてもらうことになり、数カ月後の2021年12月に名北事業所の所長になりました。
管理者を目指し始めてから、意識してきたことや学んできたことは?
管理業務を始めたころから意識していたのは、スタッフが安心して働けるような環境づくりです。訪問ルートの調整やケア内容の相談はもちろん、スタッフが困ってることがないか普段から聞くようにしていました。困っていそうなスタッフには、こちらから時々声をかけるようにしています。
個人的には、管理に関する本を読んで勉強していました。マネージメントや自己分析といった内容が多かったですね。エリアマネージャーと管理について話し合うことも、学びにつながりました。
名古屋で訪問看護を学んで、良かったことは?
名古屋と比べると、北海道は訪問看護が盛んではありません。北海道だけでなく、過疎化する地域には訪問看護ステーションや往診クリニックは多くないと思います。
訪問看護が充実している名古屋だからこそ、家でどんなサービスを提供したら安心や安全につながるのかが見えやすく、在宅医療を深く学べていると感じています。これはたぶん、僕の地元の旭川では学べなかったことでした。
ケアで大切にしてることを教えてください
自分の価値基準で判断せず、必ずご利用者さまやご家族の考えをしっかり聞くことです。どんな生き方をしてきたのか、どんな仕事をしてきたのかを引き出せると、その人らしさが見えてくると思っています。
「こうすべき」という言葉は使わず、本人がどうしたいかを大事にすることも大切にしています。主人公は本人なので、必要な医療との折り合いをつけつつ、やりたいことを全力で応援する姿勢を意識しています。
ご利用者さまとの印象深いエピソードはありますか?
訪問看護師になって1年が経ったころの、ご利用者さまの外出支援が印象に残っています。
そのご利用者さまはがんの終末期で、もともと「故郷の静岡を見に行きたい」という希望がありました。脳転移による急激な意識レベルがあり、うなずくのがやっとの状態でしたが、息子さんは「本人がずっと望んでいた外出を叶えてあげたい」と強く希望されました。
そこですぐに往診クリニックやケアマネージャー、チームスタッフでミーティングをして、介護タクシーや酸素、吸引器の手配、緊急時の救急搬送先や医療機器のトラブル時の対応など細かく決めていきました。付き添いするご家族の不安を、いかに少なくできるかが重要でした。
万が一のことがいつ起きるかわからない状況でしたが、自費の外出支援を行う会社のヘルパーと連携し、無事に静岡まで外出されました。
自宅に帰ってきた時の、息子さんのやりきったという満足げな表情は、忘れられません。「みんなが動いてくれて、本当にありがとう。もう大満足です」という言葉もいただきました。故郷に帰った時には、ご利用者さまも笑顔とうなずきがあったそうです。
その数日後、ご利用者さまは亡くなられました。僕の中で、ご利用者さまとご家族がやりたいことを全力で応援できたと思える関わりでした。
これから挑戦したいことはありますか?
家で安心して暮らせる人を1人でも増やしたいので、関係者と顔の見える関係を作りたいですね。そのために、連携する病院へ報告会というアプローチを始めました。まだ始めたばかりですが、先日はご利用者さまの自宅での生活を、入院されていた病棟の看護師へ伝えました。
病棟で働く看護師は、「この患者さんは家に帰って本当に大丈夫なのか」と不安に感じることが多いと思うんです。でも「家に帰ってもちゃんと患者さんを支える人たちがいるんだ」と思ってもらえれば、病棟の看護師の不安も軽減されると思います。
結果として地域のためにもなるので、そういった看護師が増えるような関わりをしていきたいです。
今後のビジョンを教えてください
いずれは北海道に帰って、地元で訪問看護ステーションを開きたいと思っています。
過疎地域だと家から病院が遠いので、通うのが難しいんです。住み慣れた家でずっと暮らしたいという人のために、かかりつけでの経験を還元したいと思っています。
自分だけで独立するという選択肢もありますが、成長し合える仲間がたくさんいるので、できればかかりつけで開きたいと思っています。そんな仲間を増やして、地元に貢献したいですね。
かかりつけに興味がある方へ一言
訪問看護へチャレンジするかしないか悩んでいるなら、絶対に飛び込んで欲しいですね。訪問看護は、その人らしさを支える素敵な仕事だと思っています。やりがいのあるこの仕事を、見学だけでもいいので見て欲しいです。
病院でもその人らしさを支えることはできますが、やっぱりその人らしさがつまった家でしかできないことがあると思うんです。このやりがいは、病院ではなかなか味わえないと思っています。
「訪問看護師になるには経験が浅くて不安」という方もいますが、少しでも興味があれば、勇気を出して踏み出してみてください。
谷さん、ありがとうございました!
インタビュー:広報担当・野田
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・代表メッセージ「訪問看護・在宅医療に興味がある看護師・セラピストのみなさんへ」
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